あじさいの語源(その2) : 紫陽花という漢字表記について
あじさいに、紫陽花という漢字があてられたのは和名抄成立以前からと思われます。紫陽花の典拠は、中唐時代の詩人、白居易(772-846)の詩文集「白氏文集」中の詩「紫陽花」です。 日本では、白氏文集は、白居易の生存中にすでに渡来したとも言われ、しかも貴族階級に広く愛読されたので「紫陽花」という詩も9世紀後半には知られていたものと考えられます。 「紫陽花」という詩はつぎのようなものです。
「紫陽花 白居易」
この詩には、概要つぎのような前書きがあります。
中国(唐)文化に憧れていた平安人にとっては、この「紫陽花」がまさにあじさいであると思い込んだとしても不思議ではない。 「紫陽花」という名が、中国においては、大詩人白居易の命名にもかかわらず広まらなかったのは何故だろうか。詩そのものがご挨拶程度の詩で魅力に乏しく、人口に膾炙しなかったためかもしれない。 それに比べ、日本では完全に定着し、紫陽花をあじさいと読めない人はいないと思われるほどである。白居易も1200年前の昔、日本で紫陽花の文字がこれほど一般化することなど、ましてや“紫陽花倶楽部”の名称に採用されるなど想像だにしなかっただろうし、天国で大いに喜んでいることだろう。 |