花  粉  症

  毎年3月に入って春一番が吹き荒れると花粉症が発症する。症状は鼻水とくしゃみそして目頭の痒みである。時期的にみてスギ花粉を原因とするスギ花粉症であろう。病院で診察を受けて目薬と点鼻薬を処方してもらっているが、原因がスギ花粉かどうかの検査までしてもらってはいない。スギの雄花穂私のスギ花粉症は、10年位前に何の前触れもなく突如発症した。それ以来この季節になると目薬と点鼻薬が手放せなくなった。

花粉症についてホームページを検索してみた。何かといろいろ情報が寄せられていて参考になる。それらを列挙してみる。

  • 患者数 : 約1300万人
       国民の10人に1人は花粉症に悩まされている計算になる。新聞によっては、花粉症が今や国民病になったとの論調を展開しているものもある。最も国民病とは何ぞやとなると手近の辞書をを見ても載ってはいない。
  • 原因となる花粉
       大半はスギと思われるが、その他にも次のような草木類が挙げられている。身近に見られかつよく知られた草木のみをピックアップした。
    • ヒノキ、シラカンバ、クリ、イチョウ、ケヤキ、マツ、イネ、ブタクサ、ヨモギ、オリーブ、リンゴ、モモなどなど
         これらの草木の花粉が実際に花粉症をどの程度発症させるのかは明確でないが、意外に身近な草木が多い。これらを見ると花粉を大量に撒き散らす風媒花の草木が多い。
  • 花粉の飛散量
       古いデータであるが、東京都の2000年の予想値で大田区で最高4,900個/平方cm/年(?)、調布市で最高5,800個/平方cm/年(?)という数値がある。100個/平方cm/日程度でも発症するようである。
  • 発症メカニズム
       花粉(アレルゲン)が眼や鼻から入ってくる→リンパ球がアレルゲンを侵入者と誤認する→リンパ球が抗体を作る→抗体が肥満細胞にくっつく→アレルゲンが再び入ってくると肥満細胞上の抗体と反応し、神経を刺激してヒスタミンなどを出す→ヒスタミンが炎症を起こす
       細菌などが体内で増殖するのを防ぎ人体の健康を守るためのメカニズムが、体内で増殖することのない花粉に対しても作動するということは、増殖することはないが絶えず大量に補給される花粉の危険性を感知してるからかも知れない。花粉を侵入者として誤認し、メカニズムが誤作動ということではないようにも思える。
  • 治療法
       症状が重くない人は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を利用する対症療法が一般的と思われる。重い人では長期の治療を要する減感作療法も行われるようである。
  • 治療費
       治療費と薬代だけで2000年の統計と思われるが2,195億円が出費されたとのこと。花粉症が増えることは思わぬ経済効果を生んでいるのかも知れない。
  • その他
       花粉症の原因は、花粉単独ではなく、生活習慣や大気汚染も大きく関わっているとのことである。ディーゼル車の排気ガス規制も今後更に強化されれば、花粉症も減るかも知れない。

スギ花粉の電子顕微鏡写真

   スギ花粉症対策として、旧林野庁では造林にあたって花粉の少ない品種の植樹や樹種の転換を行うようである。世にスギの美林や名木は多い。ちょっと思い出すだけでも秋田杉、北山杉、箱根や日光の杉並木、飫肥杉、屋久杉などなど。それだけ杉という木は日本人に親しまれてきた。今更悪者扱いするのも心苦しい。子供の頃、杉の実鉄砲を作って遊んだものである。あの頃はスギ花粉症など聞いたこともなかった。何故なのだろう?

(引用文献)写真は上がスギの雄花穂、下がスギ花粉の電子顕微鏡写真、いずれも参天製薬のホームページから。その他、参天製薬や読売新聞の記事など。